<助成団体活動取材ノート> Vol,03 日本笑顔プロジェクト&N-FiRST

 ちょうど同じ場所で活動されていた「日本笑顔プロジェクト」林さんと「N-FiRST」春原さん、お二人一緒にお話を伺いました。

N-FiRST春原さん(左)と日本笑顔プロジェクト林さん(右)

 2団体とも重機系の活動をされている団体さんで、現場で連携されることはよくあるとのこと、さすが息がピッタリ、連携プレーで次々と林檎畑の整地作業をされていました。

まずは笑顔プロジェクトの林さんのお話。

2011年の東日本大震災をきっかけに活動を始められた林さん、震災後は2年間も被災地である宮城県を往復しながら支援活動をされてきたとのこと。その時の経験が今の活動にもつながっていらっしゃいます。

「災害時の初動対応は地元が担うしかない。外部からの支援団体は、常に日本中の災害に駆けつけているので、最後まで被災地にいてくれるかわからない。だから、自分たちで自分たちの地域を守っていく体制がないといけないんです。」とても心に残る林さんの言葉でした。

 その言葉どおり、林さんの目指すプロジェクトでは人材育成に非常に力を注がれています。初動対応で威力を発揮する重機を扱えるオペレーターについては「100人育成プロジェクト」と銘打って6回も講習会を開催されました。「でも、目標は1000人です。なんでかというと、資格を取っても常に重機に接する人はそんなにいないでしょう。そうするとペーパードライバーと一緒でいざというときに動かすことはできないんです。多分100人資格を取っても即戦力は10人くらいになってしまうので、1000人いれば100人、そのくらいいてほしいんです。」現場での経験が豊富な方ならではの洞察力だと思いました。

 さらに、将来に向けて素敵な構想をお聞きしました。『体験型ライフアミューズメントパーク「nuovo(ノーボ)」』。これは、農業+防災の体験型アミューズメントパークで、農業体験に加え、重機体験やATVバギーが乗れるコース、キャンピングカーや電気自動車などなど楽しいことの延長で防災の備えをしていこうという構想です。とっても楽しみですね!

日本笑顔プロジェクト林さんの作業風景

続いて、N-FiRSTの春原さんにお話を伺いました。

 春原さんが重機によるボランティア活動を始められたのは、地元の被害を目の当たりにして何かできることはないかと考えた時に、家にある重機が目に入ったと言います。「これ、使えるんじゃないか!」と。

 当初別の方が代表を務めていたN-FiRSTとして活動を始め、その後まもなく引き継いで、多くのボランティアさんを率いながら重機による土砂撤去や家屋整備をされてきました。

 最初は全くの手探りだったとのことだったので、支援が必要なお宅をどうやって探したんですか?とお聞きすると、セブンイレブンなどの店舗に支援内容と連絡先を書いたチラシをポスティングして歩いたとのことで、平常時とは違う非常時の情報収集の難しさを感じました。

 そんな中、ある日食堂に入って休憩中、日本笑顔プロジェクトの林さんと運命の(?)出会いがあったとのお話でした。そこから連携が生まれていったんですね。

 N-FiRSTさんがとりわけ活動の中心においているのは、行政による公費解体の対象とならない倉庫などの解体だと伺いました。公費が投入されないため、自費での解体を余儀なくされ、途方に暮れる被災者の方も多いと聞きます。被災による精神的なダメージに加え、大切な財産もなくし、その上、さらに費用をかけて自ら財産を壊さなければならない。そんな状況の被災者の元へ出向き、倉庫の中のものを一つ一つ持ち主の方に処分していいものか確認し、丁寧に解体作業を行ったとき、涙を流してお礼を言われたことが何度もあったそうです。もし、自分が被災した立場だったらと思うと、N-FiRSTさんの存在はどんなにありがたいことでしょう。

行政が担うことはできない、だけど支援が必要な活動は想像以上に沢山あって、様々なボランティアの方々がその隙間を埋める活動をしてくれていると改めて感じました。

N-FiRST春原さんの作業風景