令和元年東日本台風(台風19号)で被災された家庭や被災者支援に向かうボランティア家庭の子どもの居場所を提供している「篠ノ井わくわく広場」で開かれた「わくわく防災講座」に参加しました。
会場は、NPO法人ワーカーズコープ篠ノ井事業所が運営する「篠ノ井こども広場このゆびとまれ」。7回目になった講座は、「備えよう!赤ちゃんのための防災グッズ」をテーマに、長野市内で防災豆知識をアドバイスしている青木千鶴さんから話を聞きました。
まずは、家の中のチェック。子どもが寝ている場所に倒れやすいものや、落ちてくるものがないか注意します。
続いては、いざという時に持ち出すものの備え。無事に避難所へ着いたとしても、赤ちゃんのために必要なものが揃っているとは限りません。最低限、自分たちが必要なものは持って避難するよう心掛けておく必要があります。デリケートな赤ちゃんに必要な哺乳瓶や消毒・除菌剤、おむつ、離乳食、持病がある時の薬やアレルギー除去食など、3日分を目安にリュックに詰めて用意しておきます。 青木さんが普段から用意しているリュックを、参加者が背負ってみました。重さは約9㎏。ずっしりと重く、腰に負担が掛かります。
持ち出すものは、生き抜くために必要なものです。とはいえ、使うことがなければ、それに越したことはないのだから、できるだけ家にあるもので揃えて無駄をなくします。靴や洋服は、おさがりでいい。心配だから・必要になるかも・便利かもと、なんでも詰め込んだリュックでは、重くて身動きができません。赤ちゃんを守りながら抱っこして歩くのは大変で、足場が悪い場所や夜中はさらに難しくなります。
赤ちゃんや子どもの成長にあわせ、必要なものは変わります。夏用・冬用にと、年に2回は中身をチェックして入れ替えながら、何度も繰り返して必要最低限なものをチョイスしていく。避難準備品の用意は、災害時を生き抜くための備え。災害によるリスクを想定し、影響をできるだけ抑えるため、役立つ「防災」を考える入口になります。
台風19号の被災経験によって、自然災害の脅威が身近にあることを知りました。いざという時に、子どもや家族を守るためには、常に「どうしたらよいか」を考えておく必要があります。災害発生時に、家族が自宅にいるとは限りません。自分が赤ちゃんを守るための心構えと準備が必要です。もし、近所に同じような子育て世代がいれば、いっしょに行動した方がお互いに助け合うことができます。
被災から1年を過ぎ、「防災」をテーマに7回の講座を開き、子どもの居場所から「防災の学び場」へと進化している「篠ノ井わくわく広場」。館長の齋藤由美子さんにお話を伺いながら、地域と暮らしの安心のためにも、防災力の蓄積と向上が欠かせないと感じました。
取材日2021年3月5日(取材・写真・文責:吉田百助)
篠ノ井わくわく広場 https://wakuwakuhiroba.amebaownd.com/
NPO法人ワーカーズコープ篠ノ井事業所(長野市篠ノ井布施高田1021)