<助成団体活動取材ノート> Vol,27 台風19号被災地を支援する長野大学有志の会

左から、宮本先生、村上さん、河瀬さん、大庭さん

長野大学のキャンパスがある上田市は、令和元年台風19号災害では400棟以上の住家被害や上田電鉄㈱別所線の橋脚が落下するなど、甚大な被害を受けました。

上田市や長野市の災害ボランティアセンターが開設されると、大学の教職員有志が学生のボランティア参加を取りまとめ、学校を上げての被災地支援が始まりました。

現在も有志による支援活動を行っている、河瀬文香さん(4年生)、村上礼実さん(4年生)、大庭ひかるさん(2年生)の3人と有志の会世話役の宮本秀樹先生にお話を伺いました。

「上田市も被災していましたが、私はより被害が大きかった長野市で11月くらいまで泥出しなどの作業を一般のボランティアさんと一緒にやっていました。11月になると3人の先輩が長野県社会福祉協議会(県社協)と連携してボランティアコーディネーターとして被災者とボランティアをつなぐ役割を担うようになり、その後私たちがその役割を引き継いで活動を続けていました。」と話す河瀬さん。

ボランティアコーディネーターは、被災地を回って住宅の片づけなど必要な支援や困りごとを被災者から聞きとりボランティアセンターに伝達し、支援に来たボランティアを現場へ案内する橋渡しの役割です。

「交代しながら学生が毎日現場にいたことで、情報が途切れずに継続的な支援ができた」と当時を振り返ります。また、被災者にとっては学生に対しての話しやすさもありました。

翌年2月にボランティアセンターが閉鎖された後も、要望に応じて3月までは支援を行っていましたが、3月後半以降はコロナウィルス感染拡大により活動を中断せざるを得ない状況になりました。

4月、5月は大学がオンライン授業になり、登校できない状況になってしまいましたが、今後の活動について県社協や長野市社協に相談しつつ、メンバーで話し合う期間となりました。

6月後半から現場での活動を再開しましたが、コロナの影響を考慮し訪問活動ではなく、公費解体される住宅の庭の清掃や樹木の伐根などの屋外作業が中心でした。

7月になると、県社協から声がかかり、千曲市の高齢独居世帯への「お元気電話ボランティア」に参加することになりました。コロナ禍で訪問ができないため一軒一軒電話をかけて、健康状態や困りごとを聞きとります。地域の集まりもなくなり、家族も帰って来られないので寂しい、といった声が多く寄せられたといいます。

「社協や民生委員の被災者訪問活動に学生も参加するという調整をしていたけれど、コロナでそれができなくなったので、電話ボランティアに関わらせていただけてよかった」と河瀬さん。

もともとやろうとしていた訪問活動ができない中でも、今できる支援を考え、活動を継続している皆さんですが、今は地元の上田市からでもできる支援として、県社協と連携して写真洗浄のボランティアにも着手しています。

長野市穂保の堤外地では、被災地を元気にしようと、地域住民から畑を借りて秋に菜の花の種を蒔いたそうです。

「なかなか現場を見に行けず、菜の花の様子が心配。」と話す大場さん。

菜の花は寒さに強いと聞きますからきっと大丈夫。春には一面に咲く菜の花畑の風景を長沼の皆さんと見られることと思います。

-取材:2020.12月-