長野市豊野・長沼地区で令和元年台風19号被災地復興事業を行っている、team.H(チームアッシュ)代表の宮腰貴洋さんと星野百代さんにお話を伺いました。
宮腰さんは災害当時、浸水被害を受けた豊野地区の温泉施設「りんごの湯」に勤務していました。しばらくは施設の復旧作業に追われる日々でしたが、施設が仮復旧すると施設のすぐ近くにあり避難所になっていた豊野西小学校に向かい、自分にできる支援や足りていない支援などのニーズを探したそうです。
「動き回っているうちに、現場で支援活動をしている様々な団体とつながることができたのですが、最初はどの団体が何をやっているのか全然情報がなくて苦労しました。あらかじめ情報があれば話がスムーズだし、被災地のニーズとつなげやすいのにと思いました。」と宮腰さん。団体同士の横のつながりが必要ではないかと思い始めます。
その後、支援団体の一員として活動するようになり、12月に避難所が閉鎖された後は、長沼地区の赤沼公会堂をプチ避難所のような形として拠点とし、被災地の中に入って支援活動を続けることにしました。
「そうした拠点を設けたのは、いろんな情報を集めて住民の皆さんに伝えたかったからです。地域の情報や、支援団体の情報をカレンダーにして住民の皆さんにお渡ししたりしました。」と星野さん。
そして、被災地内で活動をするためには、他の支援団体との連携が不可欠と考え、1月に各ボランティア団体に、今後の支援活動や一緒にできることなどの聞き取りを行いました。
こうした活動を通じて、宮腰さんは災害が起こる前の平時から情報が共有できる関係者のネットワークづくりが必要だと考えるようになりteam.Hを立ち上げました。
「例えば、物資が集まったらそれを必要とする被災地に速やかにつなげる調整機能が必要ですが、現状はその機能がないので物資が滞留したり、逆に足りてないところは各支援団体が自力で集めたりしていました。各被災地で活動している支援団体同士がネットワーク化されて連携体制がとれれば、被災地の情報の一元化ができるし、どこにどの支援が必要かすぐにわかり、速やかに支援の手が届くようになります。そうしたネットワークを作れたらと思っているんです。」と熱く語る宮腰さん。
ただ、宮腰さんが考えるネットワークは行政や社協との連携も必要で、さらに支援団体を取りまとめるエネルギーも必要になります。宮腰さんは、情報の一元化のためのツールとしてウェブサイトの構築も視野に入れていますが、その運営方法も今後の課題だと言います。
「ネットワーク化は災害時に必要な仕組みで、それができればモデルケースになると思うんです。ただ、コストもかかることになるので、どう仕組みを構築していくかをいろんな機関と話をしながら進めていければ。」
令和元年台風19号災害は、大規模災害が起きた際の支援体制の在り方について、多くの人が考える契機となったと思います。行政、社協、民間、支援団体それぞれが、平時から関係性をもって顔の見える関係性を築けるよう、みんなで知恵を絞って取り組んでいかなければいけない課題だと宮腰さんの話を聞いて感じました。
-取材:2020.11月-