<助成団体活動取材ノート> Vol.28 「復興タイムズ」発行事業

地域の今を毎月届ける情報紙「復興タイムズ」。配布は長野市穂保地区と津野地区、そしてみなし仮設住宅などに仮住まいしている方々など250戸以上。 毎月開いている編集会議で、お話を伺いました。

地域のお茶飲み場「ほやすみ処」で開いた編集会議

第8号になる2月発行のトップは、昨年中止になった「どんど焼き」。準備から点火の様子など写真を織り交ぜながら、「水害前と同じ生活に早く戻ってほしい。昔のように、同時刻に一斉に堤防沿いに火が燃え上がる風景を来年はぜひ見たいものだ」と伝えています。地域の行事は、人が集まり交流する機会。地域にまつわる歴史と人それぞれの思い出もあって感慨深い記事になります。 定番コーナーの「居たかない?」は、住民のお宅を訪問して様子や思いを紹介する記事。今号は「長沼小学校に入学したいから、ここに来ました!」というご家族を紹介しています。ほかにも、新しくオープンするお店の紹介やイベント案内、ボランティア団体などからのお知らせなど、地域の今を伝える情報が毎号いっぱいです。

発行のきっかけは、水害後ばらばらに暮らしていた住民が久しぶりに顔を合わせた会で、「どうしている?」と互いを心配しあったこと。「さまざまな理由で地域住民が離れ離れになる中、地域の身近な動きや情報を届けるために、新聞という方法を選んだ」と話す住田編集委員長。特集した「あの日・あの時、伝えておきたい私の記憶」を読み、自分も同じ境遇だったと涙する方もいたそうです。

「復興タイムズ」編集委員長の住田昌夫さん

毎月2回以上、編集委員が集まって、なにを取り上げるかを話し合い、次号の記事案と担当を決めています。記事にするための取材は、今だから話せる思いや抱えている悩みなどを聴く機会にもなります。話を聴いて知った地域にある問題を紙面でどう取り上げるかと同時に、問題を解決するための方策も相談しあう編集会議には、地域にとって新聞をつくるという以上に大切な意味と役割があると知りました。

毎月の新聞が伝える地域の今は、離れていても「つながり」を感じる温かな証。これからも、たくさんの笑顔と元気をお届けください。

取材日2021年1月24日(取材・写真・文責:吉田百助)